この記事はホームページの問い合わせフォームからメールが届かない不具合があったのでその解析と原因・対処法を記載します。
昨今電子メールは、フリーで入手しやすく使いやすいものもが多くあります。それでいて仕事には欠かせない、大変重要なツールとなっています。問合せメールがちゃんと来ているか?今一度確認した方が良いかもしれません。
問題発生とその経緯
桜の開花するちょっと前、とある会社さんからホームページの制作依頼を頼まれました。
コロナ過で仕事の依頼が減ったため、何とかしてほしいと悲痛な相談がありました。
ホームページは1ヵ月程で完成し、運用を開始しました。
集客の為、SEO対策やランディングページを入れかなりの自信作、集客できると意気揚々。
そのホームページを見て仕事を依頼したい方は問い合わせフォームに従って必要事項を入力し依頼ができるようにしました。
そしてそのホームページはSEO対策によって1ヵ月も立たないうちにGoogle検索順位がだいぶ上がってきました。
Google検索エンジンでの特定キーワードは市内で2位、県では14位となかなかの順位。
自然検索での特定キーワードで検索した場合
・上位であること
・集客に強いランディングページを作成、設置している
こういった好条件がそろっているのですぐに問合せが来ると予想しました。
後は問い合わせを待つばかり。
運用開始して3週間目。
1件の問い合わせが来ました。
やった!とテンションも上がったので、社長へ電話しました。
「メール見ました?早速エアコン取り付け工事の見積もり依頼来てましたよ」
と社長さんへ電話で連絡。
ところが「えっ。私のところには来てないよ」と。
当初社長さんがメールをちゃんと見ていないだけだと思いました。
再確認をお願いしましたが「届いていない」とのことでした。
「ちゃんとテストしたし問い合わせフォームが動いていないことはないはずだ」
そういう風に思っていました。
おかしいと思いながらせっかく問合せが来て喜んだのもつかの間、すぐに解析作業に入ることになりました。
仕事が決まったも同然、だとおもって社長と一緒に喜ぼうと思ったのですが解析に乗り出しました。
解析
問い合わせフォームはサーバー上にあるホームページのお問い合わせのページにPHPというプログラム言語で作られています。
利用者がフォームに記載して「送信」ボタンを押すと、フォームの内容を登録したメールに送信する機能またはページのことを言います。
問合せが来たことと、その内容が送られてくるので大変便利です。
24時間受け付けられる、ネットで仕事依頼できる、ということで多くの場合入れさせていただいています。
依頼者は電話に比べるとわずらわしさがないので問合せしやすく、ネット集客においてなくてはならない存在です。
管理者は「待っているだけで集客できる」ので大変便利な機能です。
ソフトウエアで構成されているのでサーバーが勝手にPHPのアップデートなど何かが変わらない限り、動いていたものが動かなくなるという可能性は理論上考えにくいです。
ただホームページを設置しているレンタル共有サーバーはハードウエア(物理的なもの)ですのでサーバーの障害がないか念のため問題がないことを確認しました。
まずこういう不具合の解析は「切り分け」が大事になってきます。
悪い部分を探すために「正常」な部分を確定させていくことで確実に悪い部分を追い詰め、特定していきます。
まず、サーバーは障害がなかったので問題なさそうです。
(基本的にWEBサーバーは稼働率が高いです。冗長式が多く、1方に障害があって止まってしまっても、もう1方に切り替わるなど、2重方式にしていて障害に強く、メンテナンスやコロナ過のワクチン接種予約等アクセスが異常に集中するなど、よほどのことがない限り正常に動作し続けます)次に自分のホームページはどうなのか?ということになってきます。
GW前はちゃんと動いていたのは確認しているのでプログラムのソースコードやCMS側の設定に問題はないはずです。
念のためホームページのPHPバージョンや、ホームページのソースプログラムも変わっていないか問題がないことをチェックしました。次にサーバー側のソフトウエア設定等はどうなのか?
サーバーのPHPバージョンは何もしていませんし変更も内容です。
やはり異常は見当たらない。
原因:意外なものが犯人でした
サーバーやホームページに異常はありませんでした。
最後に残ったのは「メール」が犯人ではないかと推測しました。
問い合わせフォームの送信先メールに設定したのは、社長さんがスマートフォンで使用しているフリーメールのGmailでした。
Gmailはフリーですし手軽に使えます。
また問い合わせがあった場合に移動や作業の多い社長がパソコンではなく、常に携帯しているスマートフォンで受信することを希望した為です。
こういったメリットや経緯の為フリーメールを問合せフォームの送信用として使いました。
「このメールが原因ではないか?」
試しに送信メールをGmail以外に変更したら正常に届くようになりました。
ということで原因はGmailだったようです。
メール、特にGmailなどクラウド上にメールデータがあって操作ができるWEBメール、そして利用者が多いGmailは、常に新しいコンピューターウイルスや脆弱性などと戦う必要があります。
脆弱性が見つかって修正したり、その修正によって新たに不具合が発生したり、セキュリティ強化の為バージョンアップなどを繰り返しています。
また、世の中にはスパム(迷惑メール)があります。
そういった経緯があり、トータルとしてのGmailシステムやサービスは細かい内部バージョンアップしているのではないのでしょうか。
推測ですがGW後、スパム扱いされたようで、ホームページからGmailへの送信されなかったようです。
Gmailはフリーで使えますし、便利です。
月間アクティブユーザーは20億人(2020/3月現在)と非常に浸透しているので攻撃の的になりやすいはずです。
2021/3/23にはAndroid端末限定ですが数時間Gmailが開けない問題が起きています。
真の原因について
今回baserCMSというCMSを使用しHPを制作、メールフォームを使用しました。
そこで設定したメールアドレスが
【webサイトが提供するドメインメールでない場合、スパムと誤認される】
ようです。
このbaserCMSが自分のwebサイトから提供されるドメイン以外のメールを使ったのでスパムと認識されたようです。
解決法としてはbaserCMS内に、SMTPサーバー設定があるので、gmailの設定をすることでスパムと誤認されることはなくなるとのことです。
baserCMS内のSMTP設定は下記になります。
サイト基本設定 ⇒ メール設定 ⇒ SMTP設定
下記画面はbaserCMSのVer4.4.4 2021/2/26リリースでのSMTP設定画面です。
※GW前後で結果が違うのでこれが真の原因かどうかの確証はとってはいません。
対処法
ということでCMS内でSMTP設定をしてもよかったのですが、Gmailからの直接転送はやめて、WEBサーバーで新たにメールアドレスを作りWEBサーバーから提供されたメールを使い、そこで問い合わせをいったん受信、そこから社長さんのGmailへ転送する、ことで対処しました。
今後はメールがスパム扱いされることなく問い合わせが来てもちゃんとスマートフォンへ問合せメールが届くようになります。
WEBサーバーをメールサーバー専用として使用することでも回避
スパム扱いされないためにWEBサイトから提供されるメールを使えばいいのですが、「フリーメールしか持っていない」方はどうしたらいいのか?
フリーメールしか持っていないという方にお知らせしたいことがあります。
実はホームページでレンタルするサーバーはメールサーバー専用として使用することが出来ることをご存知でしょうか。
あまり知られていませんが、WEBサーバーはホームページ用のサーバーとしても使用できますが、メールサーバーとして使用できます。
もちろんメール専用のメールサーバーもあります。 WEBサーバーのメール機能で提供する容量をオーバーする場合は、こちらをお勧めします(例えばヘビーユーザーだったり、メール数、アカウント数が多く、WEBサーバーでは収まり切れない場合など)。
話を戻しますが、WEBサーバーは月額でレンタル使用することが出来ます。
OUTLOOK等大概のメーラーで送受信できます(スマートフォンやPCで送受信可能)。
月額110円~
容量:1Gbyte~
アカウント数:1~
※上記はロリポップレンタルサーバーのエコノミープランをレンタルした場合です
容量について1Gbyteまでしかなく少なくて心配だという方、メーラー側をPOP接続に設定することでサーバーから一定時間(1日~14日程度)で削除することができるので1日で1Gbyte以上の送受信をするようなヘビーユーザーでない限りはあまり気にしなくても使用できます。
削除時間についてはOUTLOOK等メーラー側で設定可能です。
今回発生した問題のように、フリーメールが何らかの影響で転送されない、といった場合に有効ではないでしょうか。
ちなみに私共でホームページ制作を依頼した方で設定がよくわからない、メールの仕組みがよくわからない方はメーラーの設定についても私共で行っています。
私共ではホームページを作る=レンタルサーバーを借りる=メールを貰えます。
私どもではホームページ制作するとメールアドレスが付与できます。
メールはサーバーの機能で付与できるので私共でも無料で作成しています。
まとめ
脱線しましたがまとめます。
不具合解析は「切り分け」作業で効率が上がる
皆さんも普通に生活していて昨日まではちゃんと動いていたものが突然動かなくなることってありますよね。
自分で修理しようと思って「これが悪そうだ」、と直感的に従い試すことを繰り返す作業はかえって時間がかかってしまいませんか。
正常部分と不具合部分との切り分け作業が回り道をせず、確実に不具合箇所にたどり着け結果的に効率的で早く修理・対処できます。
今回の不具合は、不具合の発生から解決までのべ3時間ほどと早くできました。
自分は以前、携帯電話や通信系装置、システムのトラブル解析をやってきた関係で切り分けを行い、何が原因か、障害解析や修理を行った経験があります。
そのかいあってか、母親が洗濯機に入れて水浸しで動かなくなった携帯電話を分解して直して元通りにした経緯があります。
ハードウエアの解析となりますのでオシロスコープやテスター、携帯を分解する為のY字ドライバー、ピンセットなど特殊な工具や測定器等も持っているので解析ができました(ちなみに、スマホなどをあけて解体するとドコモさんなどの場合、サポート対象外となりますので注意)。
その時は携帯電話の開発部隊にいて修理も行っていたのできました。
※修理は専門家など深い知識がない限り、何が悪いかの原因解析や修理は難しい場合がほとんどです。家電などの電化製品の場合は感電や発熱・発煙・発火などやけど、怪我や事故の元になるのでやみくもにやるのはやめましょう。 レーザー製品や無線機器など製品によっては人体・地球環境に影響を及ぼす恐れがありサービスマン以外開封を禁止しているものもあります。
システム、ホームページやメールを使用するのは便利ですが予期せぬトラブルはつきものです。
Gmailがすべて悪いわけではなく、お使いの環境によって今回のような問題が発生する/しないがあると思います。
ホームページで問い合わせフォームでフリーメールから問い合わせメールを受けている方はご注意願います。
心配な方はご自分のホームページのフォームに入力してみて正しく届くかどうか確認してみてはと思います。
分からない場合は無理せず専門家に問い合わせましょう。